以下の本を読みました。
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『視考術』というものの見方を使って、約束の時間に遅れることだけで無く、あらゆる行動の原因や、その行動が促進・減少する原理について書かれていました。
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視考術とは
『行動分析学』という心理学がベースにあります。
行動心理学とは、『なぜ、そのように行動するのか』であったり、『なぜ、そのように行動しないのか』といったことを考え、それを応用すれば『どうすれば、そのように行動するようになるのか』あるいは『しないようになるか』を研究しているものだそうです。
そして、『視考術』とは以下のように説明されています。
視考術とは、行動随伴性をダイアグラムに描き、行動を引き起こしたり抑制したりする要因を見つけ、同時に、もし行動を変えたいのなら、何をどうすれば行動が変わるのかを洞察する手段でもある。
島宗理.人は、なぜ約束の時間に遅れるのか~素朴な疑問から考える「行動の原因」~(光文社新書)
行動の因果関係を図で書いてみるんです。
こういう条件とああいう条件があって、『行動』して、その結果そういう結果と、こんな結果が引き起こされて、それは次の『行動』に対して、前向きに働くか、後ろ向きに働くかを確認します。
ちょっと自分なりに書いてみました。
先行事象があって、行動があって、結果起きることがある。
そして、その結果は次の行動に対して、どう働くのか(↑向きなのか、↓向きなのか、-特に影響ないのか、?なんとも言えないのか)を見ていくことです。
このとき、『心』のコトは考えません。
心理学なのに、『心』を考えないのです。
できるだけ具体的に、できるだけたくさん考えてみることだ大事とのこと。
章立て
以下の構成になっています。
- 序章 県民性・国民性を視考する -行動の『視考術』とは何か
- 第1章 性格を視考する -人は、なぜ血液型で正確を判断しようとするのか
- 第2章 記憶を視考する -人は、なぜ傘を置き忘れるのか
- 第3章 道徳観を視考する -人は、なぜ公衆マナーを守れなくなったのか
- 第4章 思考を視考する -人は、なぜ災害から逃げ遅れるのか
- 第5章 意識を視考する -人は、なぜ騙されるのか
それぞれを、『視考術』によって、行動を読み解いていきます。
行動随伴性
欠かせないキーワード。
それが、『行動随伴性』です。
これは、第2章に出てくる、傘の事例が分かりやすいと思いました。
傘の事例では次のことが書かれています。
そもそも《忘れる》という行動は存在しない。「傘を置き忘れた」ということは、どこかに置いたものを持ってくる行動が自発されなかったということだから、実は「持ってくる」行動に着目して、これがどういう条件なら自発されやすく(つまり「覚えている」か)、どういう条件なら自発されにくいか(つまり「忘れる」か)を考えればよい。
島宗理.人は、なぜ約束の時間に遅れるのか~素朴な疑問から考える「行動の原因」~(光文社新書)
たとえば、出発する時に、雨が降っている時と降っていない時とで、引き起こされる結果が異なり、『傘を手に取って出る』というシチュエーションが次にやってきた時に、この『行動』に対して自発しやすくなっているか、なっていないか。を書いてみるのです。
そして、このときに『心』や『能力』を考える必要は無いのです。
ここでご理解いただきたいのは、傘の置き忘れという問題の原因と解決策を考えるのに、《記憶力》とか《注意力》といった個人の能力や記憶のメカニズムに関する難しい理論は必要ないということだ。
島宗理.人は、なぜ約束の時間に遅れるのか~素朴な疑問から考える「行動の原因」~(光文社新書)
『心』や『能力』のせいにするのは、その問題を根源的に捉えていないというコトになります。深く考えられなくなってしまうのです。
そのコトについても、以下のように書かれていました。
他人や自分や組織がすべきことができないときに、その原因を性格とか能力とか態度などの《心》の概念のせいにして、どうすればできるようになるかを考えなくなってしまうことを私は『個人攻撃の罠』と呼んでいる。
島宗理.人は、なぜ約束の時間に遅れるのか~素朴な疑問から考える「行動の原因」~(光文社新書)
・「なぜ、あの人は締め切りまでに報告書を提出しないのだろう」─→「それは、あの人がいい加減な性格だから」
・「なぜ、自分の営業成績は上がらないんだろう」─→「能力が低いんだから、仕方ない」
・「なぜ、社会保険庁はもっとしっかり仕事をしないんだろう」─→「職員がやる気がないんだよ」
島宗理.人は、なぜ約束の時間に遅れるのか~素朴な疑問から考える「行動の原因」~(光文社新書)
これは罠にかかっている状態です。
これでは、その場の気持ちはスッキリするかもしれませんが、おそらくいつまで経っても締切までに報告書は出てこないし、営業成績は上がらないし、もっとしっかり仕事をしないのです。
きちんと、その因果関係について、具体的に書き出すことが必要です。
おわりに
序章の『県民性・国民性』についての部分、バッチリ心を掴まれました。
都心部と地方都市とでは、同じ『行動』に着目しても、行動随伴性が全く異なるのです。
自分の行動を修正したい人、または団体行動の統制を取る立場の人なら、覚えておいて損は無い内容ですし、テクニックです。
とても、オススメです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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