2018年5月5日土曜日

100de名著で紹介されていた本3冊目:山本七平の『「空気」の研究』



GWのさなか、以前に『これは良かった!』と勧められた番組があったので、NHKオンデマンドで見ました。

と、以下の記事に書きました。

今回は、その中の3冊目を紹介しようと思います。


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山本七平の『「空気」の研究』

100de名著のメディアスペシャルで紹介された本の3冊目。

山本七平の『「空気」の研究』

「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))
山本 七平
文藝春秋
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KY(空気読めない)の空気ですね。
そこらに物理的に存在している空気のコトではありません。

空気が日本人の意志決定にどのような影響を与えるのか。
そういったことを研究されたようです。

たとえば、太平洋戦争時に戦艦大和では

理知的には絶対に勝てない!と誰もが思っていたのに

ときの司令官は「攻めろ!攻めれば勝てる!」と言って、指令を出したわけです。


後の世で、「あの時はああせざるを得なかった」と言っていたようです。

これこそが空気。


でも空気は、明示的に語られない。

推し量るしか無い。忖度思想(!)なのかもしれません。


空気を読む、典型的なテレビのお仕事に『ひな壇芸人』があります。

横並びに並んで、その状況に応じて、自分はどう演じればいいのかを、その場の空気を読んで判断して振る舞うわけです。


情報バラエティなんかもそう。

難しい出来事に対して、大衆が同意しそうなことをコメントする。

最近のテレビ離れの理由も分かる一面でもあるが

実は日本人全体が、そういう質(たち)だというコト


面白いと思ったのは、以下の内容。

実は日本には『抗空気罪』というものがあって、これに反するともっとも軽くて『村八分刑』に処される。

これは、軍人・非軍人、戦前・戦後に無関係であるようである。

空気とは妖怪のようなもので、一種の超能力のようなもの。

論理的・科学的論証は一切無効で、あらがえないもの。


妖怪とはよくいったものだなぁ。と。


また、論客が言っていたのは

空気は多様性を認めない

というコト。


この文脈で、こういう解釈をするのが当然だよね~ みたいな空気。

そこに反論は許されない。

まあ、相手は空気なので、反論しようも無いのだけれど。


そして、空気は永続しない。いつかは分からないけどいつかは消える。


瞬間的に変わったりする。


そして、それを我々日本人は引きずらない。すぐに切り替える。


戦時中は、学校で「鬼畜米兵」だとか「お国のために命を」とか教えていたのに

終戦後の2学期から、それを教えていた同じ先生が

「戦争はいけないコトだ」とか「アメリカは素晴らしい」とか教えはじめる。


不倫はいけない!という報道がバンバン流れる中

小室哲哉の件になったときに、空気が変わった。

メディア、ひどい!みたいな。


空気支配の対抗策は、『水を差す』こと。

メディアは、今の空気の告知機能を持っているため

偏った報道ばかりするのでは無く、キチンとその内容を深掘りして

違う目線もあるよ、と

提起し続けることが、メディアの理想であるということも語られていました。


小室妻は、こういう病気で、その家族にはこういう大変なコトがあって……みたいな。

そういうもう一方の視点。

または、複数の視点。

それを提供するのがマスメディアの理想。


近年は、『こういう視点がウケる!』みたいなのが見つかると、そればっかり。

メディアも空気を読んでいるわけですね。

ただ、それは本来の役割では無いですよね。

個人で発信している人ならともかく、マスメディアは空気を醸成できる大きな力を持っている責任として、多角的に報道してほしいものです。

おわりに

この番組が『メディア』について語っているので、そういう視点で語られているわけですが

私みたいに一個人でブログというメディアを使って、発信する情報もあるわけで。

さすがに空気まで作れるほどの力はありませんが

誰かの何かの考えに、一石を投じることができたらいいなぁと、思ったりして書いているわけです。

まずは、自分の考えを整理するためであったりするのですが

発信する以上は、他者へ与える影響も少しは考えないとなぁと、改めて感じました。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


>>100de名著で紹介されていた本4冊目:オーウェルの『一九八四年』

>>NHK『100de名著スペシャル』の『メディア論』を見た

>>100de名著で紹介されていた本1冊目:リップマンの『世論』

>>100de名著で紹介されていた本2冊目:エドワード・W・サイードの『イスラム報道』

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